アンダーソン君のコート

 映画が始まって早々、笑撃の場面にわたしは遭遇した。こんな場面である。

 リアルワールドで超能力を使い、力尽きたアンダーソン君は、精神がマトリックスとマシン世界との境の駅に引っ掛ってしまう。
 このとき、どうしたことか、何の前触れもなくアンダーソン君のコートが詰襟ではなくなっている。
 さらに、彼の顔が何か変だ。レボルーソンと同時に撮ったという前作とレボルーソンをあわせた殆どの場面と比べて、 肉が多めについている。一瞬代役のチャド・スタールスキーかと思った。

 このシーンは何らかの原因で大幅に撮り直したのではあるまいか。例えばこんな事が考えられる。
 アンダーソン君役のキアヌ・リーブスは、撮影が終わってほっと一息つき、そしてラーメン三昧の日々を送っていた。 そんな所へ突然撮り直しの辞令が飛び、おまけに撮影期間はやたら短かった、 そして例の詰襟コートの襟が閉まらなかった……どうだろうか?

 例の詰襟コートは、若い頃ホッケー部に属しその実力と容貌とから「壁」呼ばわりされた逞しい男・キアヌ・リーブスを、ムリヤリジャパニメーションのキャラのように痩せさせて着せたものである。ちょっとスケジュールに間違いがあり、リーブスの体型が正常に戻れば、もう着られまい。*1

 更に言えば、このあとアンダーソン君が駅を脱出しようとして走る場面も変だった。真横から映され、どたばたと走る彼の姿は、どこでも「ドリフ」と揶揄されている。アンダーソン君本人ばかりか、駅のセットの方も急造で、真横からしか撮れないようなセットだったのか。

*1:ここら辺は想像逞しくし過ぎました。あとでよく確認してみた結果、このときのアンダーソン君の服装は第1作でオラクルに初めて会った時のおめかしアンダーソン君に似ている事が判りました。上着の長さは違いますが、かっちりした襟元は似ています。それが何かと聞かれても、現時点ではお答えできませんが。
ただ、この辺の場面でアンダーソン君の顔がむくんだように見える事は今も同じです。

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