ラストバトルに科学のメス

 私はこれまでにも、「レボリューションズ」に於けるアンダーソン君とスミスの一騎打ちは最後の最後が締まらなかった、と散々書き立ててきた。 (参考記事:「キン肉バスター」/ スミスの表情/ 虚無主義対愛の拳…しかし/ 泥びたしスミス、そして決着/ 徹底比較、「決着場面」対「アーキテクトの部屋」

 実はあのラストバトルには、科学のメスが入っている。「空想科学映画読本2」でだが…。
 申し訳ないが、研究のため同書100ページから引用させて頂く…

 (5行目〜)衝撃波は、ほぼ1秒で数kmに広がった。半径を3km、2人の体重を70kgとすると、ぶつかった速度はマッハ13万!
 (10行目〜)スミスさんのクレーター壁面陥没については、実験データから計算すると、潜り込んだ深さが5mなら、ぶっ飛ばされた速度はマッハ13!何だか、クライマックスに向かって威力が順調に激減していくなあ。

 要するに、二者が空中でぶつかり衝撃波の輪が出来た際の速度と、クレーター内の攻防でスミスが突き飛ばされて瓦礫の山にズボッと潜った時の速度を比較すると、ザッと万倍の開きがあるということか。
 クレーター内の攻防が酷かったと言う事は数字の上にも現れた。

 同書ではその前の「スミスバスター」の威力も疑問視しているが、「スミスバスター」の結果出来上がったクレーターの大きさが意外と小さかったのは、演出上致し方なかろう。
 クレーター内で戦うアンダーソン君とスミスを、大勢のスミスが取り囲んで観戦する。あのクレーターはリングの役割を果たしていた。あまりでっかくては見物人が近くに寄れないので困る。

 同書ではスミスが土にめり込んで見えなくなった際の深さを10メートルも無いと考えており、それが概算の結果をより愉快なものとしている。あのラストバトルが尻すぼみだったという事を面白おかしく描きたくてそうしたのかとも思ったが、映画本編に於けるその後の泥びたしスミスの出て来かたからするとそんな物だろう。

 ちなみに同書が二者の体重を70キログラムで計算している点だが、実際のところ(?!)はちょっと違うと考えられる。二人とも大柄だし、その上エージェントの設定の一つに自分の体重(密度)を任意・瞬時に増やせるとあるので。

参考文献:「空想科学映画読本2」柳田理科雄/扶桑社

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